Complete text -- "#323.20世紀の産物"

21 December

#323.20世紀の産物

「一国の運命が投機家に翻弄されている」と言ったのは、マレーシアの元首相マハティールだ。国際金融資本という顔の見えない怪物は、10年ほど前アジアの国々を成長から混乱の底に突き落とした。

今、原油価格が上がり続けているがこれも国際金融資本の仕業だという。アメリカのサブプライム問題で投資先に困った国際金融資本は原油の買い占めを行っているとのことだ。原油価格の高騰だからと言って、OPECが増産を受け入れなのは当然で、ここは別の問題である。国際金融資本は石油ばかりではない、穀物にも手を出している。お蔭で石油も食い物もない日本は生活物資の値段がどんどん上がり、ますます暮らし向きが暗くなっていくのは必至だ。

アダム・スミス以来経済活動の倫理性が大きく緩和されたが、同時に通貨管理が国家の重要な任務になった。まさに主権国家の象徴が通貨管理だったのである。ユーロの導入に反対したイギリスのサッチャーは、主権放棄と言い放ってポンドを死守した。とはいえ経済のグローバル化はもはや一国の主権では限界に来ていることは明白だが、国際金融資本に運命を託さなければならない状態はどう考えても理不尽である。この国際金融資本の魔の手から逃れるため、エクアドルは早くも通貨を米ドルにしてしましった。とりあえず安全にはなったろうが、国家としての金融政策も採れず全く主権放棄である。その他の多くの国は主権放棄はしないだろうが、解決の難しい悩ましい問題で右往左往することになる。
経済活動の自由はなるべく保障したいが、こんな状態では自由主義経済は破綻に突き進むことは明白だろう。欲の皮の突っ張り切った形振り構わぬ経済活動はアダム・スミスだって苦虫を潰しているに違いない。

今や世界中が国際金融資本に翻弄されているというこの問題は、一体誰が解決できるのだろうか。国連に経済安保理事会などがあっても、肝心のアメリカが拒否権を連発して機能不全になるのは火を見るより明らかだ。いやはや20世紀はとんでもないモノを生み出してしまったようだ。


23:46:04 | datesui | |
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