Complete text -- "#486.京都へ行ってきました? −洛南・宇治拾遺−"

13 November

#486.京都へ行ってきました? −洛南・宇治拾遺−

宇治拾遺物語といえば芥川龍之介の『鼻』や『芋粥』のもとになった中世の説話集だが、ここでの拾遺は宇治や洛南の探訪で書き漏れたことを紹介させていただく。

まずは宇治川の中の島にある十三重石塔だ。高さ15m、なんでも日本で一番高い石塔だそうだ。五重塔などの木造の建造物は日本にたくさんあるので、一番はそれなりに意味のあることだが石塔はどうだろう。有名とされる石塔は聖徳太子が建てたといわれる滋賀県の石塔寺のものくらいで、大きなものや有名なものは少ないようだ。この石塔が建立されたのは、宇治川の洪水で橋が流されるのは川の魚霊によるものということからの魚への慰霊碑だそうだ。石塔の下には釣り具や漁網などの漁具が埋め、殺生禁断の意味が込められているとのことだ。塔にまつわる伝承の凡庸さに加えて造形的にも美しくなく、何となく時間の無駄づかいにもなりかねない塔だ。だが、妙に目立つところがあって、ついこのようなことになってしまった。やはり、高さだけでも日本一は惹きつけるものがあるのかもしれない。

次は飛行神社だ。八幡市の石清水八幡宮の麓にあるが、外社ではない。大正4年というから1915年に日本で最初に模型飛行機を飛ばした二宮忠八によって建てられたそうだ。航空関係の犠牲者の慰霊をはじめ、航空安全と航空事業の発展を祈願したことによる。二宮忠八はライト兄弟に先立つこと5年前にゴム動力の模型飛行機を完成させた人物で、日本航空界の孤高のさきがけだ。現在の御社は平成元年に新築されたもので、航空に相応しく近代的な作りになっている。境内にはゼロ戦のエンジンも置いてあったが、個人的な趣味からは入口の左側のガラスケースに入った79Jジェットエンジンだ。F104Jを知っているお方にとっては航空自衛隊の懐かしの名戦闘機だが、そのエンジンだ。ガスタービンを専攻していた学生時代、IHIの三鷹工場でその部品を観た。精密というより、意外な簡素感が忘れられない。


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十三重石塔。高さ15mは日本一。木造の五重塔でも日本一の東寺の塔は55mだ。レベルの低い日本一なのだが、妙に目立つのだ。右は航空神社。お札は700円。普通の神職の恰好をした方が対応してくれた。


22:42:03 | datesui | |
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