Complete text -- "#204.カツオとヒラメ"

19 February

#204.カツオとヒラメ

先日、健康談義をしていたらカツオの話題になった。カツオの泳ぐ姿は健康そのものだという話だ。まさにその通りで、もの凄いスピードで、とてつもない距離を回遊するカツオのバイタリティーには眼を見張るものがある。低緯度の熱帯の海に生まれて成長とともに北上する回遊の範囲は、日本近海だけでも先島諸島から黒潮に沿って鹿児島、高知、和歌山を通り、房総、三陸、北海道さらには千島列島の南に達し、ここで下りカツオになって南へ戻って行くという。回遊距離は1年間だけでも恐らく数千キロになるものと思われ、しかもその距離を時速30kmに達すると言われる猛スピードで泳ぎ続けるという。いやはや大変なスイマーで、敬服さえ感じてくる。

そのバイタリティーの権化のようなカツオだが、残念なことに短命だという。心肺機能や血管への過負荷が短命の原因とされている。つまり、過度の運動は身体に良くないのだ。適度な運動は血管や心肺などの老化を防ぐが、大きすぎる負荷は心肺機能や血管を消耗させてしまうのだろう。元気すぎるカツオにはとんだ落とし穴があったものだ。
その反対に動かない代表としてヒラメがいる。悔しいことに、ヒラメは長寿だそうだ。海底の砂地にジッとして餌が泳いでくるまで待ち、目の前に来たときパックと動くだけである。そして、再びジッとして、ただ上だけを見て過ごすわけである。こんな生態のヒラメは、余計な動きをしないので過負荷にならず、結局長生きができるとのことだ。

自ら真っ直ぐに進んでいくカツオは短命で、上しか見ないでジッと待っているだけのヒラメが長生きとは、何と理不尽なことだろう。魚の世界とはいえ、やり切れない気持ちになってしまう。


短命にさせてしまうほどのカツオのバイタリティーを、ヒラメのように使うのがホモサピエンスのなせる業としたら、果たしてどんなことが考えられるだろうか。


06:00:00 | datesui | |
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