Complete text -- "#243.どの道"

27 April

#243.どの道

遠い昔、東洋と西洋を繋ぐ東西交流の道は、よく知られているシルクロードだけではなく、その北に連なる草原の道があり、またずっと南になるが海の道もあって、ただひとつではなく3つの道の存在が知られている。

その東西交流と同じように、天皇賞への道も主要なものは3つがあるようだ。ひとつは「表街道G?路線組」で、菊花賞、天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念というG?レースを連戦して、春はステップレースを1戦程度こなして天皇賞へ向かうことになる。次は、「裏街道長距離専攻組」で、春の天皇賞が3200mであることから、ステイヤーズS、万葉S、ダイヤモンドSという3000mを超えるレースを専門に走ってきた連中だ。最後は、「赤マル急上昇成上り組」と言い、今年の始めは条件クラスだったが、ここへ来て急に力をつけた馬たちだ。
「表街道G?路線組」は、メイショウサムソンを大将に、デルタブルース、ネヴァブションという錚々たる陣容だ。次の「裏街道長距離専攻組」は、アイポッパー、トウカイトリック、ファストタテヤマという職人芸の持ち主が集まった。最後は「赤マル急上昇成上り組」で、マツリダゴッホ、ユメノシルシ、アドマイヤタイトル、ダークメッセージ、という連中は今の勢いで一気にG?へ挑戦だが、中には年明けは1000万下クラスだった馬もいる。

去年は、「表街道G?路線組」のディープインパクトとリンカーンが圧倒的に強かったため、アイポッパー、ファストタテヤマの「裏街道長距離専攻組」は全く歯が立たず、そこへ、「赤マル急上昇成上り組」のストラダジェムが割り込むという構図だった。今年は、「表街道G?路線組」に力強さがみられない一方、「裏街道長距離専攻組」はアイポッパー、トウカイトリックが順調にレースをこなして来たので、おもしろいレースが大いに期待できそうだ。

              Wsc  RRsc  RTsc  DfWL   Asc  Hsc L3Tsc
◎ アイポッパー     64.6  77.3  50.7   0.9  −0.3 −0.8  34.2
○ ネヴァブション    63.5  69.3  65.9   2.6  −0.5  1.5  23.6
▲ トウカイトリック   60.8  71.2  46.1   0.8   0.4  0.0  32.8
△ マツリダゴッホ    60.5  72.8  61.9   1.2   0.0  1.6  18.0
  ユメノシルシ     54.8  58.7  55.7   2.0   1.0 −0.7  15.6
  トウショウナイト   53.9  69.3  55.2  −1.8   0.0  0.1  23.2
  アドマイヤタイトル  53.1  63.9  63.6  −1.6  −0.4  1.0  20.2
  ダークメッセージ   52.9  61.4  48.1   1.5  −0.3  0.8  21.7
  メイショウサムソン  52.8  70.3  54.7  −2.3   0.6  0.6  20.9
  エリモエクスパイア  47.8  57.1  50.6  −1.7   0.2  0.4  24.0
  デルタブルース    46.3  53.7  46.1  −3.1  −0.1 −0.9  34.8
  トウカイエリート   44.9  56.4  38.8  −1.6   0.1  0.9  23.1
  ファストタテヤマ   42.1  56.7  33.0  −3.5  −0.8 −1.3  29.6
  アドマイヤモナーク  39.4  45,0  47.5  −5.0  −0.5  0.3  29.0
  マイソールサウンド  32.0  50.2  32.4  −6.0   0.8 −2.1  20.7
  ウイングランツ    30.7  44.8  53.3  −6.0  −0.7  1.1  17.7

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc  :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す
   ・L3Tsc:末脚?→上り3ハロンタイムのスコア


上位4頭のスコアが他を圧倒したようで、思いの外フォーカスがはっきりした。これもメイショウサムソンの不徳の産物と言わざるを得まい。また、G?組の主要なメンバーであるデルタブルースは、海外では華々しい成績を上げてはいるが、国内では今ひとつで、データベースのスコアは上がらず、評価が難しいところだ。G?組のもう1頭、ネヴァブションは、菊花賞には出走しているものの年明けまで条件クラスで、実質的なG?組とは言いがたいが、こちらの成績は上位安定で大いにねらい目である。
これに対して裏街道組は鼻息荒い。総大将格のアイポッパーは、長距離シリーズの入り口のアレゼンチン共和国杯こそ2着だったが、その後ステイヤーズS、阪神大賞典とG?を連覇して、楯はもはや指呼の間と思ってはいないだろうか。また、トウカイトリックは、長距離シリーズのアルゼンチン共和国杯、ステイヤーズS、万葉S、ダイヤモンドS、阪神大賞典の5レース全てに皆勤賞の健脚ぶりを見せ、成績も緒戦こそ5着だったが、その後は2着、2着、1着、3着と安定した力を十分披露できた。この裏街道の状況は、去年の11月から丁寧に追いかけてきたので、少なからず思い入れが出て心配なのだが、データもここまで十分なら、この2頭は我が子のように応援したい気持ちだ。
これらの勢力に割って入ろうというのが、成上り組だ。その筆頭はマツリダゴッホなのだが、元々は菊花賞に出走するはずだったものだが、アクシデントで不出走になってしまった。年明けからの経過は、AJCC、日経賞とネヴァブションよりも王道を歩んでいる。成績も1着、3着と成上りとは思えない立派な内容だ。成上り組でおもしろそうなのがユメノシルシだが、普通の重賞競走ならいざ知らず、そこは伝統の天皇賞、チョイト家賃が高そうだ。

では、レース展開に参ろう。だが、これが難解だ。はっきりとした逃げ馬、先行馬は不在なだけではなく、後方一気という馬も見当たらないのだ。ということは、全馬16頭がダンゴになって3200mをゴチャつきながら走るのか思うと、何が起きるかわからない。それに今回は武豊がいないので、どんなレースになるかも大いに楽しみだ。

ユメノシルシが逃げるだろう。続くのはマイソールサウンドだ。メイショウサムソンも遅れずに付くから、ここまでが先行グループだ。
中段も、トウカイトリック、エリモエクパイア、トウカイエリート、マツリダゴッホ、トウショウナイト、デルタブルースが前の方になるが、これも密度の濃いダンゴになるだろう。この後と言ってもすぐ後だが、アイポッパー、ダークメッセージ、アドマイヤタイトル、ネヴァブション、アドマイヤモナーク、がこれまたダンゴ状態でつづくことになる。
最後方は、ウイングランツ、ファストタテヤマ、の2頭だが、これもそんなに離れることはないだろう。とにかく16頭、ダンゴだ。

2周目の坂から動きが出れば、馬群はバラけて紛れのない力の勝負になるかもしれない。メイショウサムソンやデルタブルースなどはこのような戦法の方がいいかも知れない。だが、往々にして誰も動かず4コーナーまでカタマリで来ると、ゴチャつきそうだ。去年のセントライトの再来ではないが、利害の出るアクシデントの発生が心配される。こうなるとコース取りの運不運ということにもなるかもしれない。


06:00:00 | datesui | |
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