Archive for October 2008

31 October

#480.お姉さまへの挑戦

天皇賞は数えて138回、最も古くから続いているレースだ。なにしろ始まりは明治38年、1905年のことだ。それから長いこと古馬最高の栄誉のレースとして親しまれてきた。昭和59年、1984年に秋の天賞は2000mに短縮され現在の距離になったが、それまでは春の京都も秋の東京も、ともに3200mの長距離レースだった。思い出される名勝負は数知れないが、2000mに変更されてからの数回はレコードタイムの連続で、中距離競馬のスリリングな展開を教えてもらったようだった。

その2000mもG?にすっかり定着して、中距離路線を志向する馬もはっきり現われてきた。その一例が今年のディープスカイだろう。いつもの既定路線なら、ダービーを勝った馬は菊花賞を目指すのだろうが、ディープスカイは2000mの天皇賞・秋へ標準を定めてきたのだ。これで、おもしろさが一つ増したことになった。
3歳馬の挑戦を受けるのが4歳の牝馬2頭だ。ダイワスカーレットとウオッカの2頭は、史上最強とも思える4歳牝馬のペアだ。ダイワスカーレットは長期休養明け、ウオッカは前走の不覚があるが、両馬とも本番を控えての状態は十分といえそうだ。また、楽しさが加わったようだ。
主役の3頭のエピソードが豊富なこともあり、他馬の影が薄れがちだが、いやいや多士済々、曲者も揃って興奮を呼ぶレースが期待できそうだ。スタートが待ち遠しい。

【 Wscランキング:天皇賞・秋 】
◆Wsc: 70.2 ウオッカ        R= 54、 RR= 81、 RT= 68、 D= 1.6、 A= 0.3、 H= 1.9
◆Wsc: 66.8 ダイワスカーレット  R= 73、 RR= 74、 RT= 53、 D= .4、 A= 3.3、 H= -0.2
◆Wsc: 64.5 ディープスカイ    R= 54、 RR= 78、 RT= 59、 D= 1.2、 A= -0.6、 H= 5.8
◆Wsc: 57.4 ドリームジャーニー  R= 45、 RR= 65、 RT= 67、 D= 0.5、 A= -0.9、 H= 4.4
以上がWsc55を超えた推奨馬
◇Wsc: 52.6 サクラメガワンダー  R= 58、 RR= 72、 RT= 56、 D= -3.2、 A= 0.4、 H= 1.9
◇Wsc: 51.2 キングストレイル   R= 38、 RR= 71、 RT= 62、 D= -1.9、 A= 0.7、 H= 1.0
◇Wsc: 50.1 カンパニー      R= 56、 RR= 62、 RT= 58、 D= -3.4、 A= 0.0、 H= 3.0
◇Wsc: 49.6 アドマイヤフジ    R= 53、 RR= 70、 RT= 60、 D= -3.6、 A= 0.9、 H= 1.1
◇Wsc: 49.5 アサクサキングス   R= 46、 RR= 71、 RT= 52、 D= -2.3、 A= 1.9、 H= -1.2
◇Wsc: 48.3 アドマイヤモナーク  R= 37、 RR= 72、 RT= 53、 D= -1.8、 A= -0.8、 H= 2.7
◇Wsc: 47.3 オースミグラスワン  R= 48、 RR= 57、 RT= 62、 D= -1.9、 A= -1.2、 H= 3.3
◇Wsc: 45.9 エアシェイディ    R= 50、 RR= 64、 RT= 56、 D= -3.6、 A= -0.6、 H= 2.7
◇Wsc: 45.4 トーセンキャプテン  R= 49、 RR= 60、 RT= 54、 D= -2.7、 A= -0.5、 H= 1.3
◇Wsc: 42.9 タスカータソルテ   R= 49、 RR= 53、 RT= 53、 D= -2.7、 A= -0.2、 H= 1.6
◇Wsc: 41.0 ポップロック     R= 48、 RR= 53、 RT= 46、 D= -3.1、 A= 0.2、 H= 0.8
◇Wsc: 37.1 ハイアーゲーム    R= 41、 RR= 51、 RT= 61、 D= -4.7、 A= 0.1、 H= 0.7
◇Wsc: 30.3 エリモハリアー    R= 45、 RR= 43、 RT= 61、 D= -6.5、 A= -1.1、 H= -1.0

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
Wscのスコアを見れば、ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイの3頭が抜きん出ている。この中から優勝馬が出ると見るのが順当だろう。中でもここまで順調にことを運んでいるディープスカイに期待を寄せたい。ダービー以後、夏を無事に越し、秋初戦の神戸新聞杯を勝ち上がって万全の状態と言えるだろう。対するはウオッカだ。前走の毎日王冠こそ2着と不覚をとったが、その前走の安田記念は圧勝で強さは揺るぎもない。むしろ心配なのがダイワスカーレットで、前走の大阪杯を勝ったときは近年の最強牝馬と思えるフシさえあったが、休養明けのハンデをどう克服するかになろう。この3頭以外では、2000mを連勝して復調したドリームジャーニーが目につくが、あとの馬も含めて4歳牝馬との勝負付けはもはや終ったと認識したい。


【 展開 】
ダイワスカーレットが逃げてアサクサキングスが追走する、というのが常識的な展開だろう。休養明けといこともあり、ダイワスカーレットは逃げを打つのが常道だろう。その後の先行組が、アドマイヤフジとキングストレイルだ。ここまでが、先行集団となる。
中段は、サクラメガワンダー、ウオッカ、ポップロック、ハイアーゲーム、カンパニー、タスカータソルテの面々がかたまりを作って進行する。
後方は、トーセンキャプテン、ディープスカイ、エアシェイディ、アドマイヤモナーク、ドリームジャーニー、エリモハリアー、オースミグラスワンが静かに進むことになる。

動きはウオッカに注目したい。前回は逃げて差されてしまったが、今回はどこでダイワスカーレットとの勝負に行くかがおもしろい。後方のディープスカイの追い込みも視野に入れながらの仕掛けのタイミングを楽しむのも一興である。
展開の綾があればカンパニーだろう。有力の3頭が早めの叩きあいになるようなことになれば、最後に仕掛けるカンパニーが足元を掬うこともあるかも知れないのだ。


00:35:40 | datesui | No comments |

29 October

#479.京都へ行ってきました? −洛南・宇治−

今、宇治は源氏物語で満載だが、平家物語ゆかりのものもある。よく知られた宇治川先陣争いで、宇治橋のそばの中の島にその碑がある。寿永三年(1183年)、木曾義仲を討つために頼朝の命を受けた範頼と義経が出陣する。両軍はこの宇治川の激流を挟んで対峙するが、梶原源太景季(かじわらげんたかげすえ)と佐々木四郎高綱(ささきしろうたかつな)による、この激流の先陣争いで決戦の幕が切って落とされた。このときの二人はいずれも頼朝から授かった「生食」(いけづき)、「磨墨」(するすみ)という名馬に乗って先陣争いを展開するのである。

出陣に先立ち、梶原源太は名馬生食を所望するが、頼朝は生食に未練を示し磨墨を与える。ところが佐々木四郎にはあっさりと生食を与えてしまうのである。当然なことだが両者には対抗意識が働き、激しい先陣争いになるわけだ。勝負の方は佐々木四郎が一計を案じ、勝利することになる。

先陣争いはこれだけだが、生食と磨墨についての伝承の多いことは特記に値する。まず、馬の名の固有名詞が伝わっていることだ。あのイギリスでさえ、ダービー馬の中には名前のない馬もいるのだから、生食と磨墨という名が900年もの昔から語り継がれているのは大変なことである。さらに、この2頭が南部馬であることや、磨墨は名前のとおりの黒い馬で、生食は「池月」とも書かれることから月毛であるそうだ。ちなみに月毛は黄色味がかった白だが、毛色の他にも誕生の地など驚くほど多くの話が伝わっている。


また、宇治と言えば名物のお茶だ。その宇治のお茶にまつわる資料を展示しているのが上林記念館だ。江戸時代、朝廷や幕府の御用茶師をつとめた上林春松家の長屋門を資料館にしたものだ。茶器や茶道具はもちろん、製茶道具やお茶にまつわる書状なども展示してあり、なかなか興味を惹くものもあって200円の入館料は高くはない。記念館の2軒先に上林のお茶の店があり、入って商品を見ていたらお茶を振る舞ってくれた。さすがに美味しく、お土産を買ってしまった。


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「宇治川先陣之碑」と書かれた宇治川先陣の記念碑は中の島の北の方にある。右は上林記念館。訪れる人も少ないようだ。


01:26:29 | datesui | No comments |

27 October

#478.京都へ行ってきました? −洛南・宇治上神社と橋姫神社−

今、宇治は源氏物語一色だ。紫式部が源氏物語を書き上げてから千年が経ったそうで、源氏物語ミレニアムということだ。平日の昼間で紅葉には少し早い時期だが、人通りはかなりなものがあった。その宇治を代表する源氏物語ゆかりの神社は宇治上神社と橋姫神社となろう。

源氏物語の最終章を飾る宇治十帖では、源氏はとうに他界し息子の薫大将と孫の匂宮の話になる。幕開けは『橋姫』で、源氏の異母弟にあたる桐壺帝の八の宮が宇治で寂しく暮らしているところからである。薫はこの八の宮のことを聞きつけ、宇治を訪ねると互いの不運な身の上を共鳴し合った。薫は何度となく宇治に八の宮を訪ねるが、八の宮には二人の美しい姫君がいて、ある月夜の晩、二人の姫君が琵琶と琴を合奏しているところを垣間見た。月の光に映し出された美しい姫君の姿に心を惹かれるのである。薫は「橋姫の心をくみて高瀬さす 棹の雫に袖ぞぬれぬる」と詠んで、姉の大君に贈った。その後、薫が宇治を訪れると八の宮は出家を望んでいることを薫に告げ、合わせて姫君たちの将来も薫に頼むことになった。


この八の宮の屋敷があったのが宇治上神社のあたりらしい。ただ、神社の成り立ちと源氏物語との関係はないようだ。神社のパンフレットには由緒正しきことが綿々と綴られていたが、知らない固有名詞が並んでいてさっと読んでわかるシロモノとは思えなかった。お社は立派で世界遺産とのことだが、平安時代後期に建てられ現存する最古の神社建築だそうだ。

橋姫神社は宇治橋のたもとにある小さな神社だ。瀬織津姫(せおりつひめ)を祀った橋姫神社は橋の守り神だったそうだ。水陸の交通の要所であった宇治にとって宇治橋は極めて重要で、橋姫をめぐる多くの伝説もあるようだ。宇治十帖のゆかりの名称でもあり、小さな神社で何があるわけでもないが訪ねる人は多かった。


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宇治上神社の本殿。檜皮葺きの屋根を始め、その存在感にに圧倒される。右は橋姫神社。本当に名ばかりの神社。


00:19:25 | datesui | No comments |

23 October

#468.お鉢が回ってきた

いよいよ今年のクラシックの総決算、菊花賞だ。その総決算を前にして大本命と思われたディープスカイが天皇賞・秋へ転進して菊花賞には出走しないことになった。ディープスカイは言わずと知れたダービー馬で、その前にマイルのG?NHKマイルを快勝している。ここで菊花賞を獲れば変則だが三冠の達成であり、内容も1600mのNHK、2400mのダービー、そして3000mの菊花賞となれば、本場英国のクラシックの体系に近く、本物の三冠馬のはずだった。それを天皇賞に進路を変えたのだ。しかも天皇賞は歴戦の古馬と手合わせになる。どう見ても3歳同士の菊花賞より辛い勝負になることは明白である。敢えて厳しい道を選んだディープスカイの陣営に拍手を送りたい。

この背景には世界の競馬が距離の短縮化傾向にあることが明白だろう。菊花賞や天皇賞・春のようなレースはもはや時代遅れなのかもしれない。NHKマイルC、ダービー、天皇賞という路線が3歳馬の中心的なキャリアコースなることを願っているのだが、早計だろうか。

伝統のレースに水を差すようなことを述べてしまったが、菊花賞はやはり菊花賞として淀の坂越え3000mをきっちり走って欲しい。だが、ディープスカイの転進に加えてダービー2着のブラックシェルも屈腱炎で回避となって、急に中心が怪しくなった。すると急浮上が夏の上昇馬だ。ダークホースのはずが中心馬に、穴中の穴の馬が対抗や単穴に格上げされてのレースになった。いささかインフレ気味のレースではあるが、それでも優勝馬は菊花賞馬だ。クラシックの総決算を見事に飾って欲しい。

【 Wscランキング:菊花賞 】
◆Wsc: 67.9 オウケンブルースリ R= 30、 RR= 58、 RT= 60、 D= 0.5、 A= -0.7、 H= 3.2
◆Wsc: 60.1 シゲルフセルト   R= 16、 RR= 55、 RT= 60、 D= 0.3、 A= -0.1、 H= 1.6
◆Wsc: 59.5 スマートギア    R= 17、 RR= 54、 RT= 57、 D= 0.3、 A= -0.6、 H= 2.1
◆Wsc: 58.5 マイネルチャールズ R= 28、 RR= 69、 RT= 53、 D= -2.4、 A= 0.4、 H= 1.3
◆Wsc: 58.1 ダイワワイルドボア R= 21、 RR= 60、 RT= 52、 D= -0.6、 A= 0.1、 H= 1.1
◆Wsc: 57.5 ノットアローン   R= 19、 RR= 66、 RT= 49、 D= -0.9、 A= 0.7、 H= 0.2
◆Wsc: 55.7 ダイシンプラン   R= 17、 RR= 49、 RT= 50、 D= 1.2、 A= -0.6、 H= 1.8
以上がWsc55を超えた推奨馬
◇Wsc: 54.4 ナムラクレセント  R= 20、 RR= 53、 RT= 56、 D= -1.2、 A= -0.4、 H= 1.8
◇Wsc: 52.2 ロードアリエス   R= 24、 RR= 62、 RT= 46、 D= -2.8、 A= 1.1、 H= -0.4
◇Wsc: 49.2 ミッキーチアフル  R= 18、 RR= 50、 RT= 50、 D= -1.8、 A= 0.6、 H= 0.2
◇Wsc: 47.9 スマイルジャック  R= 21、 RR= 53、 RT= 50、 D= -3.0、 A= 0.9、 H= 0.5
◇Wsc: 47.9 ベンチャーナイン  R= 19、 RR= 56、 RT= 50、 D= -3.1、 A= -0.4、 H= 2.2
◇Wsc: 47.1 アグネススターチ  R= 18、 RR= 50、 RT= 43、 D= -1.7、 A= 1.3、 H= -0.2
◇Wsc: 44.6 ヤマニンキングリー R= 16、 RR= 52、 RT= 47、 D= -3.1、 A= 0.0、 H= 0.4
◇Wsc: 42.2 ホワイトピルグリム R= 19、 RR= 45、 RT= 51、 D= -3.5、 A= -0.1、 H= 0.8
◇Wsc: 32.7 フローテーション  R= 18、 RR= 38、 RT= 47、 D= -5.2、 A= -0.3、 H= 0.8
◇Wsc: 32.6 メイショウクオリア R= 21、 RR= 44、 RT= 39、 D= -5.3、 A= 0.6、 H= 0.1
◇Wsc: 32.1 ドットコム     R= 16、 RR= 40、 RT= 39、 D= -5.4、 A= -0.2、 H= -0.6

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・Rsc  :レースの実績→過去1年6か月を遡ったレースの実績を示す
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す


【 展望 】
オウケンブルースリを夏から密かに追いかけていた上がり馬狙いの御仁や、大穴狙いの方には悔しい菊花賞かも知れない。なにせ、穴中の穴のようなシゲルフセルトやスマートギアまでが中心馬になろうとしているのだ。そして、近年なら見捨てられるセントライト記念の上位馬が、我が場を得たりとばかりの顔をしているではないか。今年の菊花賞は何が起きるかわからない、面白いことになりそうだ。

そこで、王道的にオウケンブルースリ、シゲルフセルト、スマートギアを中心に据えよう。マイネルチャールズ、ダイワワイルドボア、ノットアローン、ダイシンプランをその間に割り込む勢力と考えてみたい。目移りする馬も当然多いが、ここまでにしておく。


【 展開 】
レースの中心が怪しくなっているばかりではなく、展開の中心も不在だ。強力な先行馬も見当たらず、ダンゴ状態のスローペースになるのは必至だろう。
その中で先頭を切りそうなのが、アグネススターチだろう。続いて、ロードアリエスとなり、そのあとの先行集団に、スマイルジャック、ノットアローン、ミッキーチアフル、メイショウクオリア、マイネルチャールズがかたまることになろう。
差のない中段に、ダイワワイルドボア、ヤマニンキングリー、シゲルフセルト、ホワイトピルグリム、ドットコム、フローテーション、ナムラクレセント、ベンチャーナインがひしめき合う状態になる。
後方、といっても差がないが、スマートギア、ダイシンプラン、オウケンブルースリが追走する展開になる。

どの有力馬も中心馬になるとは思っていないし、中心馬にもなったこともないので、自分から動くことはしまい。なおさら淡々とした展開が維持されてしまうことになり、4コーナーを一団で回ることも考えられることではなく、一番想定できるパターンかもしれないのだ。
中段にいる有力馬が一番難しいだろう。動くに動けず、なし崩しに脚を浪費して、結局勝負にならないことが予想されるので、先行集団から勇気をもって飛び出すか、計った追い込みを抜かりなくやり遂げることが栄冠への近道かもしれない。


17:28:36 | datesui | No comments |

22 October

#467.京都へ行ってきました? −洛南・石清水八幡宮−

仁和寺の和尚ではないが念願の石清水八幡宮へ行くことができた。鶴岡八幡宮、宇佐八幡宮と並んで日本三大八幡宮といわれ、また歴代天皇の参拝も多いことから伊勢神宮に次ぐ第二の宗廟とさえいわれている。

その石清水八幡宮は逸話の宝庫だ。元寇のとき祈願をしたら神風が吹いたというような霊験あらたかな話題ならまだしも、笑ってしまうような話題も多い。冒頭の仁和寺の和尚は、長年の願いだった石清水八幡宮に来たものの、本殿のある男山の山頂には登らずに麓の末社だけを拝んで帰って行ったそうだ。帰って話したことには、「参拝の人たちはこぞって山登りに興じていたようだったが、私は参拝が目的なので山登りはせずに帰って来た」ということだった。
また、足利幕府6代将軍義教はくじ引きで将軍になったという笑い話のようなことがあるが、そのくじ引きの会場が石清水八幡宮だったのだ。くじ引きとは足利幕府らしいが、石清水八幡宮だから収まったのだろう。
さらに、あの龍安寺の石庭を囲む油土塀は低めで中途半端な感じがするのだが、低いのは庭の先が真南の石清水八幡宮に当たるので、見えるようにした配慮だという。ウソか本当かわからぬものもあるが、昔から何かにつけ京都の人たちの関心を引くお宮であったことには違いない。

京阪の八幡駅を降りると同じ京阪が運営しているケーブルカーがすぐ前にあり、仁和寺の和尚さまのようなことは避けられそうだ。山頂の本殿は前の日の雨が上がって、青空に映えた本殿の朱が美しさなんか通り越して存在感を誇示しているように見えた。途中の山道では朝の木漏れ日に昨日の雨の水蒸気が絡み、霊山の雰囲気を醸し出していたが、山頂は抜けるような青空で気持ちが良かった。
とは言うものの、二礼二拍一礼を済ませお札を買ってしまうとあとはすることがなくなった。これが長年の願望だったとは甚だ心もとなく、一体何を願っていたのだろう。仁和寺の和尚さまのことなど笑っている場合ではないようだ。
男山には展望台と称すところがある。そこから真北へ向かって遠くを見たが、用意した競馬観戦用の双眼鏡では竜安寺はおろか何も見えなかった。


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石清水八幡宮の本殿の朱は青空に映えて得意満面。右はエジソン記念碑。訝る方も多いだろうが、エジソンが白熱電球を発明したとき、最良のフィラメント材がこの地の竹だったそうだ。


16:17:51 | datesui | No comments |