Archive for April 2007

27 April

#243.どの道

遠い昔、東洋と西洋を繋ぐ東西交流の道は、よく知られているシルクロードだけではなく、その北に連なる草原の道があり、またずっと南になるが海の道もあって、ただひとつではなく3つの道の存在が知られている。

その東西交流と同じように、天皇賞への道も主要なものは3つがあるようだ。ひとつは「表街道G?路線組」で、菊花賞、天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念というG?レースを連戦して、春はステップレースを1戦程度こなして天皇賞へ向かうことになる。次は、「裏街道長距離専攻組」で、春の天皇賞が3200mであることから、ステイヤーズS、万葉S、ダイヤモンドSという3000mを超えるレースを専門に走ってきた連中だ。最後は、「赤マル急上昇成上り組」と言い、今年の始めは条件クラスだったが、ここへ来て急に力をつけた馬たちだ。
「表街道G?路線組」は、メイショウサムソンを大将に、デルタブルース、ネヴァブションという錚々たる陣容だ。次の「裏街道長距離専攻組」は、アイポッパー、トウカイトリック、ファストタテヤマという職人芸の持ち主が集まった。最後は「赤マル急上昇成上り組」で、マツリダゴッホ、ユメノシルシ、アドマイヤタイトル、ダークメッセージ、という連中は今の勢いで一気にG?へ挑戦だが、中には年明けは1000万下クラスだった馬もいる。

去年は、「表街道G?路線組」のディープインパクトとリンカーンが圧倒的に強かったため、アイポッパー、ファストタテヤマの「裏街道長距離専攻組」は全く歯が立たず、そこへ、「赤マル急上昇成上り組」のストラダジェムが割り込むという構図だった。今年は、「表街道G?路線組」に力強さがみられない一方、「裏街道長距離専攻組」はアイポッパー、トウカイトリックが順調にレースをこなして来たので、おもしろいレースが大いに期待できそうだ。

              Wsc  RRsc  RTsc  DfWL   Asc  Hsc L3Tsc
◎ アイポッパー     64.6  77.3  50.7   0.9  −0.3 −0.8  34.2
○ ネヴァブション    63.5  69.3  65.9   2.6  −0.5  1.5  23.6
▲ トウカイトリック   60.8  71.2  46.1   0.8   0.4  0.0  32.8
△ マツリダゴッホ    60.5  72.8  61.9   1.2   0.0  1.6  18.0
  ユメノシルシ     54.8  58.7  55.7   2.0   1.0 −0.7  15.6
  トウショウナイト   53.9  69.3  55.2  −1.8   0.0  0.1  23.2
  アドマイヤタイトル  53.1  63.9  63.6  −1.6  −0.4  1.0  20.2
  ダークメッセージ   52.9  61.4  48.1   1.5  −0.3  0.8  21.7
  メイショウサムソン  52.8  70.3  54.7  −2.3   0.6  0.6  20.9
  エリモエクスパイア  47.8  57.1  50.6  −1.7   0.2  0.4  24.0
  デルタブルース    46.3  53.7  46.1  −3.1  −0.1 −0.9  34.8
  トウカイエリート   44.9  56.4  38.8  −1.6   0.1  0.9  23.1
  ファストタテヤマ   42.1  56.7  33.0  −3.5  −0.8 −1.3  29.6
  アドマイヤモナーク  39.4  45,0  47.5  −5.0  −0.5  0.3  29.0
  マイソールサウンド  32.0  50.2  32.4  −6.0   0.8 −2.1  20.7
  ウイングランツ    30.7  44.8  53.3  −6.0  −0.7  1.1  17.7

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc  :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す
   ・L3Tsc:末脚?→上り3ハロンタイムのスコア


上位4頭のスコアが他を圧倒したようで、思いの外フォーカスがはっきりした。これもメイショウサムソンの不徳の産物と言わざるを得まい。また、G?組の主要なメンバーであるデルタブルースは、海外では華々しい成績を上げてはいるが、国内では今ひとつで、データベースのスコアは上がらず、評価が難しいところだ。G?組のもう1頭、ネヴァブションは、菊花賞には出走しているものの年明けまで条件クラスで、実質的なG?組とは言いがたいが、こちらの成績は上位安定で大いにねらい目である。
これに対して裏街道組は鼻息荒い。総大将格のアイポッパーは、長距離シリーズの入り口のアレゼンチン共和国杯こそ2着だったが、その後ステイヤーズS、阪神大賞典とG?を連覇して、楯はもはや指呼の間と思ってはいないだろうか。また、トウカイトリックは、長距離シリーズのアルゼンチン共和国杯、ステイヤーズS、万葉S、ダイヤモンドS、阪神大賞典の5レース全てに皆勤賞の健脚ぶりを見せ、成績も緒戦こそ5着だったが、その後は2着、2着、1着、3着と安定した力を十分披露できた。この裏街道の状況は、去年の11月から丁寧に追いかけてきたので、少なからず思い入れが出て心配なのだが、データもここまで十分なら、この2頭は我が子のように応援したい気持ちだ。
これらの勢力に割って入ろうというのが、成上り組だ。その筆頭はマツリダゴッホなのだが、元々は菊花賞に出走するはずだったものだが、アクシデントで不出走になってしまった。年明けからの経過は、AJCC、日経賞とネヴァブションよりも王道を歩んでいる。成績も1着、3着と成上りとは思えない立派な内容だ。成上り組でおもしろそうなのがユメノシルシだが、普通の重賞競走ならいざ知らず、そこは伝統の天皇賞、チョイト家賃が高そうだ。

では、レース展開に参ろう。だが、これが難解だ。はっきりとした逃げ馬、先行馬は不在なだけではなく、後方一気という馬も見当たらないのだ。ということは、全馬16頭がダンゴになって3200mをゴチャつきながら走るのか思うと、何が起きるかわからない。それに今回は武豊がいないので、どんなレースになるかも大いに楽しみだ。

ユメノシルシが逃げるだろう。続くのはマイソールサウンドだ。メイショウサムソンも遅れずに付くから、ここまでが先行グループだ。
中段も、トウカイトリック、エリモエクパイア、トウカイエリート、マツリダゴッホ、トウショウナイト、デルタブルースが前の方になるが、これも密度の濃いダンゴになるだろう。この後と言ってもすぐ後だが、アイポッパー、ダークメッセージ、アドマイヤタイトル、ネヴァブション、アドマイヤモナーク、がこれまたダンゴ状態でつづくことになる。
最後方は、ウイングランツ、ファストタテヤマ、の2頭だが、これもそんなに離れることはないだろう。とにかく16頭、ダンゴだ。

2周目の坂から動きが出れば、馬群はバラけて紛れのない力の勝負になるかもしれない。メイショウサムソンやデルタブルースなどはこのような戦法の方がいいかも知れない。だが、往々にして誰も動かず4コーナーまでカタマリで来ると、ゴチャつきそうだ。去年のセントライトの再来ではないが、利害の出るアクシデントの発生が心配される。こうなるとコース取りの運不運ということにもなるかもしれない。


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26 April

#242.眼福

テレビを見ていて、思いがけないものを見ることができたりするとすごく嬉しいときがある。そのくらい今のテレビは期待するものが少なくなったと感じている。
今日(25日)の夕食時、テレビのチャンネルをあっちこっちザッピングして、どこかで野球でもやっていないかと思ったが、どうも気にいる中継がなかった。じゃ、やめるかと思ったとき、MXテレビでソフトバンク×西武戦が放映されていた。カードとしても掘り出しものと思えるいいものに当って嬉しかったが、それだけではなかった。ゲームの合い間合い間にベンチの様子が映し出されるが、王監督や伊東監督には特に感ずるものはなかったが、コーチの姿にホホウというものがあった。

西武のベンチには、ピッチングコーチで荒木大輔がいるではないか。全国のママに我が子を大輔と命名させた元祖アイドル甲子園児だ。松坂大輔もその子のひとりだろう。少しふっくらとしたようだが、昔の面影は十分ある。いや、品良く年を重ねた良いオトナに見え好感さえ持てた。
対してソフトバンクのベンチにはヘッドコーチの森脇が控えている。森脇の美貌は一級品で、広島カープに在籍した現役時代、成績はひとつパッとしなかったが、その美貌には隠れ森脇ファンもいた程なのだ。監督の王は後の方に座っていて、森脇がその前に立つので、これぞ男前という姿が大写しになった。試合は途中からワンサイドになってしまったが、そんな時は両チームのベンチでも紹介したらどうかと思った。野球界には珍しい、男前合戦なんてのも一興にはならないかと思った次第だ。

そう言えば数年前、近鉄バファローズのベンチが豪華だった。監督の梨田以下、ヘッドコーチの真弓、ピッチングコーチの小林と、それは男前トリオの揃い踏み。良く3人並んでいたので、よく取り揃えたものだと思ったものだった。特に、当時の近鉄の選手の方は、中村ノリとか北川とか大村などで、失礼だが首脳陣とは人種が違うようで、そのコントラストも見事だった。でも、こんなことはあまり話題にもならないし、ましてやパ・リーグのこと、話題にしても誰も反応しないだろう。


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24 April

#241.至福のとき

最近見た2つの映画で同じような場面があった。『今宵、フィッツジェラルド劇場で』と『ブラックブック』での出来事だ。ともにデュエットで歌を歌うのだが、即興でハモるという場面だった。いわゆるハモる方は、相手のソロシンガーの口を見て、合わせていく訳だが、両方ともなかなかの芸達者ぶりで、ハモリ自体も雰囲気も素晴らしい出来だった。

即興でのハモりは、チョットやると病み付きになるほど楽しく、これがもとでバンドも始まるのだ。言ってみれば、ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』のノリで歌うようなことだが、これがハマッタりすると本当に楽しい。特に、3度でハモれるようになると、カラオケでも始めることになり、初めての曲でも何でもハモりたくなるのだ。そんな馬鹿な仲間がスナックで顔を会わせると、ジャンケンまでしてパートの取り合いをすることになる。もちろん勝った方がハモる方で、負けた方は仕方なくソロになる。そうなるとハモる方は威勢がいい、とにかく失敗しても当たり前、上手くいけば儲けモノなので思いっきりハモれる。対してソロは大変だ。正確にしっかり歌うことは当然、個性を殺して歌わなくてはいけない。フェイクなんてもっての外、ただひたすら黙々と歌うことになる。そして、終れば評価や関心全てハモる方で、ソロは全くの縁の下の力持ちにされてしまうのだ。昔、学校で音楽の時間に歌を歌うときは、確か主旋律担当は目立つのが相場だったのだが、ここではどっこい立場が逆転をしているところがおもしろい。

三味線の芸がそんな感じらしい。主旋律はお弟子さんが本手と言って、一音一音丁寧に間違いなく弾いていくが、そこへお師匠さんが対抗旋律を流したり、また装飾音を奏でたりするのである。これを派手というらしいが、三味線の醍醐味だそうで、個性の発揮できる場でもあるのだろう。
とにかく即興で気心しれた仲間と気持ちを合わすのだが、これって結構贅沢なことかもしれない。


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23 April

#240.竹、竹、竹が生え

土曜日は、仕事仲間のお知りあいのお宅へお邪魔して、竹の子掘りに出かけた。敷地内に竹林があるTさんのお宅は半端でない豪邸で、久しぶりに小気味良いものを堪能させていただいた。それにしても10人の大メンバーでお邪魔したが、大歓待をしていただき、このブログを借りてお礼とさせていただきます。

さて、その竹の子堀だが60年も生きてきて全くの初めての体験だったが、Tさんの実技指導よろしくどうにか掘りことができ、収穫の歓びも味わうことができた。ところが後で写真をみたら、どうしようまないへっぴり腰で、惨めそのものだった。生まれてこの方、農林水産業的な行為はからっきしダメで、釣へ連れて行ってもらっても、モチクサ摘みや山菜採りなど、何をしても見事なぐらい適性がないのだ。だがこの写真、よくよく見つづけていると、自分でも不思議なくらい微笑ましく感じられるのだ。いつもの第一次産業への参加は、及び腰で、積極性など微塵もなかったが、今回はなぜか期するものがあったらしく、何かが少しだけ違っていたようだ。何がそうさせたか不明だが、日ごろ耳にしている「工業的製品から農業的製品へ」というようなトレンド情報が身体のどこかに沈着していて、そのささやかな職業意識がアグレッシブな気持ちに駆り立てたのかもしれない。

竹林の中で上を見上げれば、真っ直ぐに伸びた竹の先に空あり、そこからまた竹を辿って視線を下げてくると、竹に囲まれた特で別世界にいるようだ。また、竹林の風が爽やかで、独特香りと風合いをもっている。かぐや姫の故郷であることも納得できる気持ちになれるし、古昔の中国の文人たちが竹林で清談を交した気持ちもこの歳になってわかったような気がした。

生産性の低い私は別として、皆さんの活躍で見事な収穫が得られた。たくさんの竹の子の山を見ると、豊饒なんという言葉が浮かんできて、とても満たされた幸せな気持ちになれた。そう、自分でも収穫の最初のひとつは、獲れたという何とも言えない満足感が湧いてきたのだ。その後、昼間っからTさんのお宅で酒盛りになったが、さぞかし奥様のご苦労は大変なものだったろう。さらに、私どもの重鎮メンバーのひとりから蕎麦の手打ちをご披露いただき、打ち立てのお蕎麦まで賞味いただけた。何という贅沢、バチが当りそうだが、清談なるものも実はこんなものだったのかもしれない。


竹林の風は心を洗われるものがある。たまに、心が笑われる人もいるようだ。



この筋金入りのペッピリ腰、早来新市60年にして初めての竹の子掘り。それに引き換え、この見事な躍動感。「プロの一鍬」というコピーがつきそうだ。この御方は、釣の達人にしてバラの名人。私などは身分が違い、本来ならお傍には寄れないのだ。



自分がどれほどの力を出したか知れたものだが、収穫の山を見るとスッゴク嬉しい。


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20 April

#239.凡戦だけはゴメンだ

今年のクラシックの第1ラウンド、桜花賞と皐月賞が終った。次はNHK杯なのだが、やはりここは伝統的にオークス、ダービーを目指すというのが競馬人の正しいあり方だろう。そのオークスへ向けてのトライアルが22日の日曜日のフローラステークスだ。3歳牝馬が新装なった東京競馬場の芝2000mで競うのだが、これが難解、例年の蓄積が全く生きないレースでもあるのだ。

              Wsc  RRsc  RTsc  DfWL   Asc  Hsc L3Tsc
◎ イクスキューズ    66.4  61.9  53.3  −1.0   1.0  0.9  39.4
○ ホクレレ       62.2  69.3  33.6   0.0   0.2  2.2  46.5
▲ ベッラレイア     62.1  53.8  44.9   0.2  −1.5  4.2  54.1
△ パッションレッド   58.1  61.1  44.1  −1.8  −0.6  1.4  41.7
△ ミルクトーレル    55.4  46.9  54.1  −2.9  −0.8  3.1  39.8
  マイネルーチェ    48.6  40.8  38.4  −5.0  −0.6  0.0  45.4
  エーシンパーティー  46.8  39.6  34.6  −3.9  −1.0  1.1  34.5
  ジョウノガーベラ   46.8  40.2  37.7  −4.8  −0.1  0.1  41.6
  マイネシャリマー   46.5  39.7  32.7  −4.2   0.2 −1.2  39.4
  ホットファッション  44.0  31.6  42.5  −5.6   1.3 −1.6  35.8
  トウカイファイン   39.2  32.2  29.3  −5.0  −0.2 −1.1  30.9
  ディーズメンフィス  38.3  23.2  38.5  −6.6  −0.3 −0.4  39.3
  ザリーン       38.1  26.6  50.1  −7.6  −0.5 −3.3  41.7
  ヴィアラクテア    29.9  21.0  32.1  −7.7   0.0 −5.0  33.6

   ・Wsc  :ウィニング・スコア→上位入着の可能性を示す総合指標で以下の指標から算出
   ・RRsc :最近の実績→6か月以内の直近3レースの実績を示す
   ・RTsc :タイム→最近のレースでの走破タイムを示すスコア
   ・DfWL :勝っぷり→勝った馬はどれだけ突き放したか、負けた馬はどこまで粘ったかを示す
   ・Asc :先行力→先行した実績を示すスコアで、高いほど先行している
   ・Hsc  :末脚→上り3ハロンの馬群の中で相対的に前に出たか後退したかを示す
   ・L3Tsc:末脚?→上り3ハロンタイムのスコア


展望はオークスを見据えたものになるのは当然だが、最近は桜花賞組の参戦がめっきり減って、裏街道的な2番手勢力か遅れてきた有力馬という見方になる。とはいえ、傑出した実力馬が見当たらず超難解なレースになった。その中で桜花賞組みのイクスキューズが押し出されての◎になったようだ。それに続くのは、2番手勢力からのホクレレと遅れ組のベッラレイアということになろう。現時点では、やや現有勢力優勢ということだが、多かれ少なかれレース結果はオークスに反映されるのでしっかり見ることも忘れないでおこう。

展開も難解だ。ホットファッションがハナを切りそうだ。次いで、イクスキューズ、ホクレレ、マイネシャリマー、となりそうで、ここまでが先行集団になる。
中段は、ヴィアラクテア、ジョウノガーベラ、トウカイファイン、ディーズメンフィス、が前の方に陣取り、ザリーン、パッションレッド、マイネルーチェ、が中段でも後の方に位置取ることになるだろう。
そして後方は、ミルクトーレル、エーシンパーティー、ベッラレイア、が虎視眈々ということになりそうだ。

中段がダラけた縦長の展開になりそうなので、動きのないままレースが終ってしまう可能性もありそうだ。後ろに控えた馬が自らレースをつくような動きがあれば、おもしろいレースになるだろう。とにかく凡戦だけは避けてくれることを願っている。


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